私は普段あまり夢を見ないのに、昨日不思議な夢を見たんだよ。それがとっても長い夢でね。見た夢のお話聞きたい?
何処なのかなー?見たことのあるような所なんだけど、そこに心のやさしいおっとりとした男の子が住んでいたんだ。クリフと言う名前の子でね。周りから暖かく見守られていたので、人を疑うと言う事をまったく知らない子供だったの。この世界ではね、人とお話をする為には鍵が必要な世界だったんだ。心に扉があってね、そこに鍵穴もあるの。その鍵穴に鍵を入れて心の扉を開かないと、お互いに心の通い合ったお話をする事が出来ないんだよ。
この世の中にも 悪い人が住んでいたの。クリフは心の扉に鍵を掛けるという事を忘れて毎日を過ごしていたんだ、人を疑う事をまったく知らなかったからね。誰もが寝静まった暗闇の中に 人の気配がしたの、それはね、泥棒だったんだ。ただの泥棒じゃー無いんだよ。ねらいをつけている物はクリフの心だったんだよ。クリフの心はまんまと抜き取られてしまい、朝起きたら、お人形のように感情のない子供になってしまっていたんだ。
感情の無いままの生活ではあっても月日が経つと、クリフは青年へと成長していったんだ。そんなある日クリフは自分の心を探す旅に出る事にしました。
いろいろな町を旅しても自分の心などあるはずも無いんだけどね。
また、ある街に臆病で敏感で優しい気持ちを持った女の子が住んでいたんだ。名前はドビーって言うの。男の子みたいな名前の子なんだけどね。ドビーは 周りの人たちの視線が怖くて怖くてたまらなかったの。そんな怖さから逃げ出したくて 自分で心の扉の鍵を捨ててしまったの、誰とも係り合いたくない、閉じこもっていれば何も怖くないからと思ってね。ドビーが少女から娘に成長した時、もう心の扉の鍵が無いので誰とも心を通わせる事が出来なくなっていたんだよ。そんなドビーの前に、クリフがやってきました。
クリフには心が無いままだったの。心の通い合わない二人だけれど、それはそれで何の変化も無いけど、居心地はとても良かったんだ。ドビーは心の無いクリフの傍で安らぎは感じていたんだ。だけど心の扉を開きたくても鍵がが無いのでそれ以上心を通い合わせる事は出来なかったんだ。何の進展も無かったんだよ。クリフは自分の心を探さなくてはならず、何時までもドビ−の傍に居る事はできなかったんだ。
明日には次の街に行くと決めた日にクリフは握り締めていた鍵をドビーの胸にそっとあててみたの。そうしたら不思議な事に、その鍵はドビーの心の扉を開く事ができたんだよ。ドビーの心の鍵と同じだったんだね。心を開いたドビーは、可愛そうなクリフに自分の心を預けてみたの。お互いに心と鍵を共有してみて 二人でひとつなんだという心地よさを理解したの。クリフは旅を続ける事は止め、ドビーの心の鍵になる事にしました。ドビーもまたクリフの為に心を開いて彼に心を預けても良いと思ったの。何時でも何処でも一生二人で一つなんだよ。不便そうに見えるけど、二人にとっては一番幸せな形なんだろうね?
それから末永くしあわせに暮らしたそうだよ。
こんなお話の夢だったんだよ。長い夢だろ、どうだった?
あれ? 眠っちゃったの?
そうだね。今日街に出かけて人ごみの中歩いたから疲れちゃったんだね。
じゃー、おやすみ、私のドビー!