[舞台雑記homeへ] 25.mar.2001

英国ナショナル・ユース・ミュージック・シアター
ミュージカル・ワークショップ・プレゼンテーション
2001年3月21日(水)19:15〜
石西県民文化会館大ホール

 まず「ミュージカル・ワークショップ」の説明から。これは本場イギリスの青少年ミュージカル劇団 “The National Youth Music theatre(NYMT)”の指導者を招いて行われる5日間の集中ミュージカル講座で、「日本民族芸能国際交流協会」という団体が主催している。「青少年」というだけに、対象者は10〜19才の男女で定員40名。これだけなら「およびでない?こりゃまた失礼しました」で話はおわりなのだが、なんとこのワークショップの成績いかんでは、7月福島・8月イギリス・ギルドフォードでのミュージカル公演(おそらく「ペンドラゴン〜アーサー王伝説」という作品)への出演というサクセスストーリーが開けているというふれ込みで、わが石西音楽祭歌劇団の誇る精鋭部隊「チームとびら」が大挙して挑戦するとあっては黙っていられない。パンフレットによればNYMTは本国でもこういう形式でイギリス全土から出演者を選抜して、上質のミュージカルを毎年上演しているとか。あのアンドリュー・ロイド・ウェーバーもパトロンとして名を連ねているのである。こりゃマジだわ。

 続いて「プレゼンテーション」ってなに?というお話し。早くいえば、ワークショップの成果をお披露目するためのインスタント・ステージという感じなのだが、最初から企画されていたわけではなく、ワークショップが進行していく中で、参加者の習熟度を見ながら「やりましょう」ということになったらしい。山陰中央新報か何かに記事が出たらしいのだが、特に広く周知はされていないようだった。わたしの場合は、21日になってスクール生だった武内ちゃんのお父さんから「今夜ワークショップの締めで、なにか発表するらしい。一般人も見学自由」ということを聞かされ、あわれ市民合唱の練習など忘却の彼方、久々の大ホール入りとあいなった。

 ステージを見ると、下手にピアノが置かれ、白っぽいバック全面にブルーのライトが当たっているだけの簡素な舞台がしつらえられている。客席には名物ララ父・三宅さん夫妻およびララ妹のあゆみちゃん&このみちゃん、マリ母 兼 前ララ母の小野沢さんとマリ妹の舞ちゃん、ユキこと江上ちゃんらの姿も見える。ララ杉内たちが応募するときにエノちゃんも誘われたらしいのだが、彼女は「ワークショップ」という言葉の意味を把握しそこねてNG出してしまったらしい。「こーいうのだと知ってたら、参加したのに‥‥」おそいよ、悔やんだって。それをいえばオレなんか16年も「おそい」んだが。いや、早いのか?そのおそいような早いような人々の方もマサト、番人、護衛A、グレートPTAシスターズらが詰めかけ、さながら「とびら」反省会の様相を呈している。小川さんや稲若さんは「指導者」と称して、ワークショップそのものの見学にも顔を出していたらしい。その他は参加者の家族の人たちなど、ギャラリーは全部で30〜40人くらいだろうか。急遽決定企画だからまあこんなもんでしょう。むしろ予想以上のにぎわいじゃないかと。

 プログラムは約20分。これを2回行うと説明された。最初は通路より後ろの席で見るよう指定されたが、2回目はかぶりつきOK、写真・ビデオ撮影もOKとのこと。でも言われる前から三宅のお父さん、例によってビデオスタンバイしてるもん‥‥くそっ、カメラ持ってくればよかった。「す○○わさんらしくもない‥‥」とあゆちゃんに突っ込みを入れられた。わたしもどうやら「とびら」組にはカメラのおじさんとして定着しているみたいね。
 やがて外人の男性2人と、日本人女性1人がステージ中央まで出てきてあいさつをした。男性は見たところ20代〜30代前半。服装もラフで、講師だとしたら想像してたよりも若いというか、普通というか‥‥女性は通訳の人だ。

 ステージのテーマは「田舎と都会の朝の風景」。ゆるやかな曲とともに一人ひとり、それぞれソロをとりながら出てきた。まず「田舎の朝」のようだ。聞かされてはいたが、歌詞が英語だ。5日間でこれおぼえたのか?‥‥こいつらすごい。参加者の半分くらいは1ヶ月前の「とびら」組が占めていた。役名でいうとララ、ララ、リサ、ココ、マリ、ルミ、ホノオ、そして寺井さん、武内ちゃん、アカギ岡崎、野海ちゃんなどなど。また「あい地球」組の沖田さんも久々登場である。ほかにはなんと「ビリーブ・イン・ミー」組の子もいるらしい。本番終わったばっかりでしょ?しかも松江から‥‥。それと、一人マスコットみたいな園児みたいな子がいて、野海ちゃんとユニット化しているのだが、あとで聞いたら彼女は(ごめん、坊やかと思った)木次から来ているとか。「(今夜は泊まるの?)たぶん‥‥」なんかすごいことになっている、島根県ってところは。
 最初の曲が終わったと思ったら、いきなり全員卒倒。続いて寝返り、いびき‥‥都会の朝?こっちはまだ寝ているらしい。やがて寝ぼけまなこで起きあがって、数人のセリフ。「朝は大嫌い!」お、よく言った。いいぞ岡崎。そして目覚まし時計を手にして‥‥なんだ、まだ6時か‥‥ろ、6時!?けたたましく、思い思いの朝の身じたくが始まる。ハミガキ、ドライヤー‥‥なんか、めっちゃパウダーはたいてる子がいるぞ、いいんですか?彩ちゃんのお母さん。それから通勤・通学風景。もちろん曲にのって。このとき、まるちゃんや半場ちゃんは電車のドアの役。えんえん歌+ガヤセリフ+パントマイムの情景が続く。ストーリーがあるわけではないが、単純に面白い。「とびら」のビデオが来たら、ソロの芝居以上にまわりのガヤ芝居がどうなってるかが楽しみなのだが、それと同じ。まあ、知ってる子がやっているってのもあるかも知れないが‥‥。
 それからまた田舎の風景。バックと照明の影響で、朝焼けの農場といったおもむき。それと呼応するように地に足のついた野良仕事の芝居が展開される。続いてまた都会の風景。曲調も田舎はゆったり雄大、都会はアップテンポでコミカル。オリジナルなんだろうなあ、すごいすごい。でも、リフレインで聞いてるうちに「ア○ヒ」とか「ア○ダス」とかいう単語が耳につきはじめて、よくよく聞いてみると結局それは、世界の登録商標てんこ盛り具だくさんドンブリソングだと判明した。ついでに言うと、ゴハンはなくてオンリー具ーだった。おかげでこの歌はおぼえてしまいました。三宅のお父さんの「歌詞はなんでもいいんでしょうね」の言葉に納得。まあ全部の曲がそうではないんだろうけど。

 終了後、前説の3人+参加者全員がステージ最前列まで出てきて、ギャラリーも客席の前のほうに集められて、ミニ座談会になった。進行はオノさん。NYMT日本公演事務局の人だと思う。「質問などありましたら」と言われてたので、誰も手を挙げなかったりしたらエゲレス人になめられると思って、何かないかと考えた。でも、いざ子どもの一人が口火を切ったら次から次に出るわ出るわ、マイク回るわ回るわ‥‥「わたしは変われたと思う」と武内ちゃんは目を輝かせた。この言葉に代表されるように、参加した子どもたちの満足度はかなり高かったようだ。ある子どもの言によれば「ぜんぜん無理しない、あれよあれよと言う間に力を引き出してくれる」言葉の壁をものともせず、マークさん、リチャードさん(名前うろ覚えなんで、違ってたらごめん)と子どもたちの息もぴったりという感じなのが、その言葉に説得力を与えている。参加者のお母さん方からも、感謝の言葉が次々に述べられた。それを聞いてたらやっぱり何か言いたくなって、わたしも「もっと大勢の、特に男の子がこういうことに積極的になってもらうには、どうしたら?」みたいな質問をしてみた。意外や、イギリスでも実状は似たようなものだということ、島根はチャンスが多いので比較的恵まれていることなどがわかったが、なにより上川くんが、「(男子は、女みたいでイヤだとか、めんどくさいとかいう傾向があるけど)一度やったら、すごく楽しいってことが絶対わかってもらえるハズ!」と熱く語ってくれたことが、なにより収穫だった。

 3月24日(土)、NHK教育テレビで「ビリーブ・イン・ミー」が中継録画で放送された(地震報道で途中できれてしまったが‥‥)。それを見たら、ワークショップに来ていたのが誰かすぐにわかった。「マイ」役の田中さんだ。ちょっと、売り出し中の頃の牧瀬里穂みたいな“華”がある。この子はたしかにスターだ。東のマイか?西のララか?どっちも負けるな!めざせ福島・ギルドフォード!

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