02.12.27〜

Beyond The Door 練習日記 Act.3

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1月7日(火)

 昨日ああ言ったんだけど、事態打開の方向が見えてきた。最初、アキコさんとミヤコちゃんと城市が話をしてたんだけど、そのうちPTA総会みたいになってきて、気がついたらマークも入ってきた(呼んだ?)。設定上あやふやな部分をどう解釈して演技するかとかについて直接ディスカッション、いや、通訳を通してだけどする事ができたんで、まあ正直まだ「いや、そうは言うけど」って部分はあるけど前向きになってきた。
 きょうは通し稽古というかリハーサルというか、照明も入るし、マイクもセットされてるし、子ども全部と大人も一部メイクした状態で最後まで通すことになった。元気のなかった子どもたちも回復してきたように見える。油断は禁物だけど。ピンマイクセッティングのためにピアノ庫も臨戦態勢ができあがっている。そこに吸い込まれるようにたたずむ樹理ちゃん、なじみすぎ。
 1幕は上手(かみて)待機が多い。花道から法王の間の場面をチェック。またセリフ増えてる‥‥追加されたハモリの部分はイマイチはもってるように聞こえんし‥‥もうアンダーの出番はござんせん。まあなんだかんだ言いながら、みんな自分が歌わないナンバーでも愛着が出てきて覚えてしまっている。カザンのソロのとき、上手袖では大人の6人カザン五人囃子していた。
 2幕にはいると大転換で、セットの一部が袖にはみ出してくる、っつか占拠する。ほとんどセットの上に乗って待機するんだけど、上からは照明のぶっといケーブルが垂れ下がってて、危うくネックハンギングの上代舞台監督。マークに「ミスタージョー」と呼ばれる今年の上代さんは、相変わらずステージのあちこちで「きゅいーん」とか「がんがん」とかリペア上代サウンドを奏でている。これが聞こえてくると「大詰めだなあ」と思わせるもはや季節の風物詩
 セレモニーの場面。昨日ダウンしていたアリナが帰ってきて一安心。「飲んだ?アリナミン」というオッサンギャグは言ってないので安心したまえ、皆の衆。子どもに、自分がなりたいもの(役柄上)を言ってもらって演技してるんだけど、きのうのミオの「ピアニスト」に続いてアリナが繰り出してきたのは「演歌歌手」だった。おかげで父さん、こぶしを利かせたところでフリーズ(歌ってる人間以外が止め絵になる状態)する羽目になっちゃったよ‥‥って本来、「こぶし」ってのは節回しのことを言うはずだが、なぜ「握りコブシ」になってんの?って話。
 終わったら10時だった。4日後は本番だ。大丈夫かなあ‥‥チケットもかなり余ってるみたいだし、でも営業してる時間もないしね、毎日練習だから。きょうNHKで昨日の様子を放送したらしいから、それに期待。
 関係ないが、あの陶山先生が益田市の教育法王におなりあそばした。石西ミュージカルを徹底管理するのじゃ。


1月8日(水)

 もはや日課の「会館でコンビニ弁当」してたら、川本のりっちんから電話だ。チケット2枚追加!ありがとうございます〜〜〜!!!(染乃助染太郎調で)のぞ&かえちの川本っ子も来るか〜、がんばらねば‥‥ま、君らの魂胆が違うところにあるのはわかってるんだけどねおじさん、ムフ。
 きょうは全員衣裳をつけて、テクニカルリハーサル。ま、昨日もそうだったんだけど、こういうかっこいい呼び方があることに気づいたので、これからはそう呼ぶ。103号室は男の花園と化した。自分や沖田くんは素で通したけど、子どもや森の田中さんらはメイクも本番仕様。上川がもてあそぶホノオ岩崎くんベッカムヘアも本番狙い‥‥子どもたちのヘッドピースは左側の突起がカットされた。たしかにあの突起が顔を隠してしまいがちなんだけど、少し心が痛んだ。
 昼間の間にまた変わったらしい。セリフのカット、それに合わせてまわりのガヤ芝居も変わってくるが、結局きょうはそこの練習はサウンドテストでちょっとやっただけ。う〜〜〜‥‥ギリギリまで完成度を高める姿勢は尊いが‥‥トイレでマークと鉢合わせて、「オーケー?」と言われて「ヤー」とか言ったが、あんまりオーケーではないんですね、実は。しかし、いっぺんマークとちゃんと会話してみたいもんだ。こんどこそ言えるか?「プリーズ スピーク モア モア スローリイ」‥‥文法合ってる?
 島田くんはマークから「テツ」と呼ばれる。だから稽古中にマークが島田くんに指示を出すと、テツ(子ども)アンダーの彼は落ち着きがなくなる。まさしく三浦カズの「オレか?オレなのか?」状態(たとえが古くて申し訳ない)。その「護衛のテツ」の早替えを手伝う。護衛の二人はPTAとして歌も歌わなければいけないのだ。大変だが、せっかく練習したPTAの歌を歌えないよりはいいみたいだ、二人とも。
 森のシーン。他のときよりやや袖幕が退いてあるみたいで、花道の出入口から見ると、袖にいる子どもたちが見えてしまっている。いち早く気づいた沖田くんが反対側の袖へ注意しに行った。大人の自覚ってやつ?元子ども。しかし、まだスタッフが足りてないなあ。舞台転換は結局手伝ってるんだけど、自主参加だから要領が良くわからない。上川くんの話では、スタッフスクールに来てた女の子たちは参加したがってるらしいのだが話が来てないとか。う〜ん‥‥どう考えたら良いものやら‥‥。
 結局森のシーンまででリハ終了。でも10時過ぎた。このまま帰って良いものやら感満載だよ。でもバンドの人たちはなんと、12時まで稽古だそうな。みんな体こわさなきゃいいけど‥‥。


1月9日(木)

 え〜、最初に言っときます。きょうは1月14日です!もう本番終わってるし、ネタもどんどんばらして言っちゃえ言っちゃえ!
 夕方から、昨日の続きのテクリハ。やっぱし昼の間に変更が出てる。カーテンコールの歌詞も変更になる‥‥相変わらずウゲゲって感じ。最終場のクライマックスでせり舞台を使うんだけど、間延びするから2回使ってたのを1回にするための大変更も。その説明を聞きつつ、子どもたちに誘導されて動きを確認する。そのときリサに腕をつかまれた。おお、ラッキーじゃん!
 その「こう見えても23なんです」リサ櫻本の意外な素顔。みょ〜に芝居がかったハイテンションな「劇団もり」を名乗る一団があっちゃこっちゃでうるさいんだけど、その団長だとぬかす、いやおっしゃる。その団長櫻本がどうハイテンションなのかというと、「ドリフ大爆笑」で志村けんとコントをするときの伊藤蘭を思い出していただきたい、30代以上の人は。それ以下の人は想像するしかないわ!でもステキよ!‥‥そんな感じ。その「劇団もり」の猛威にあてられた純子さん樹理ちゃんも、あげくにゃよせばいいのにえっちゃんまで年寄りの冷や水で入団させろと、レナちゃんの後頭部のイカリングをつまみに大騒ぎ!
 で、それはともかく今日は昨日よりちょっぴり有名人になっていたアタクシだった。昨夜、合宿で前回の「とびら」のビデオをおおぜいで鑑賞したらしい。アリナが「教師だったでしょ〜」とのたまった。でもおれは、あの時の自分はあんまり見てないのだ。いつも早送り
 森からセレモニーへのシーン転換で持ち場ができた。以前のセットはレールで移動したりしてたけど、今回はコロがついてておおぜいで押すのだ。メインのセットは、同じものをスクールと森で180度回転させて使い分けている。なかなかにクールな仕事だ。
 最終場の通し稽古。「動物」というのはご想像のとおり石見神楽のオロチである。種神楽社中の本物3体。中身も社中の高校〜中学生のオロチボーイズ。たぶん最初はいつもと違う舞台でとまどってたと思うんだけど、やっぱり女の子がたくさんいるからか楽しそうである。オロチの動きも、生徒に絡んでくるあたりはどんどんチャーミング(ペット感覚)になってきた。そのあたりでは大人は演技上オロオロしているのだが、ハルカはマジでオロオロ、「どうすればいいの?」って演技中に聞かれても困るんだが‥‥純子さんはなまじステージでの立ち居振る舞いがサマになってるだけに、芝居は初めて、というのをこっちも忘れてしまう。
 で、ここにきてようやくカーテンコールである。そう何度も練習はできない‥‥まあ大したことはしないんだけど、感覚の違いを実感したのは「緞帳を下ろさない」こと。挨拶のしかたも違う。
 ところで楽屋だが、今回も107号室。畳の部屋だ!ちょっと今回は楽屋生活が短いけど‥‥前回はマジで「生活」してたもんなあ。

1月10日(金)

 仕事中、彩&舞ちゃんの母上に遭遇した。
 「何やってるんですか!?」‥‥何て‥‥いや、仕事を‥‥。
 まあ、母上のそのお言葉も無理はない。あしたは本番初日で、てぇことは今日はゲネプロなのだ。普通は本番と同じタイムスケジュールでやるから、夜の公演を想定してもまあ、午後イチには楽屋入りする。それが定時退社で7時半スタート(!)。まあ我々は一般PTAだからどうにかなるけど‥‥そんなこと言いつつ、某キヌヤの前にコロッケ屋ができているのを発見して、買ってきて楽屋のテーブルにセッティング。準備オッケー!‥‥何の?
 メイクも今日初めてする。もう設計図もなんもナシ!ドーランだけ薄く塗りましょうと男楽屋で示し合わせて、それでもいざやってみたら「それ濃いっすよ」と満場の指摘をくらった。発見!「多田カンパニー、塗りたくりすぎ」!(前「とびら」の写真等を参照せよ)‥‥ちなみに男子の濃すぎるメイクにはマークのキスが飛んでくるという‥‥マイガー!!
 ところでですね‥‥ここにきて風邪ひいてるんですよ、二人も‥‥しかも揃いも揃って仕事中にわざわざメールで報告が。悔しかったんでしょうな、わかるわかる。まあ二人とも夕方のゲネには参加してくれたけど、大丈夫かいな‥‥。
 そんな感じで予想通りのドタバタゲネ突入。
 ポンちゃんがふれ回って、ユキが進行上の注意をのたまって、カザンが音頭をとってステージ上で儀式(つってもセレモニーでなく)が執り行われる。普通は円陣組んで「やるぞー!おー!!(※注 ただしサイレントモード)」とかいう感じなのだが‥‥なんて言うんでしょうねえ‥‥投げキッスをしてそれを地面に置いて‥‥舞台の神様に捧げるお祈り(?)だとか。ミュージカルっ子にとっては当たり前のネタなのかも知れないけど、なんか土着的‥‥写真もあるので見てください。
 ゲネの出来は正直言ってヒヤヒヤものだった。完成してるところは完成してる。でもまだセリフがとんだりすることも多い。なのにまだまだ変更は出る。プロの稽古ってこんな感じかなあ‥‥で、ビックリしたのはオロチが登場したとき。気がついたら和太鼓の乱打が、さながら神楽のオロチの舞いのごとく聞こえているじゃあ〜りませんの。これまでは音らしい音もなく、手順が長いシーンなのでどう盛り上がっていいかわからなかった。だからこの音を聞いて「これこれ!!」って思ったんだけど‥‥叩いてるのはマエストロ!‥‥鈴木さん、右手に指揮棒、左手にバチ、よく見りゃ横に太鼓が置いてある。この光景にはさすがに「この人、すげぇ‥‥」と思わずにいられなかった。近々ニューアルバム発売です。‥‥ところで最後の威勢のいい合いの手の声、アレは誰なんだ?心地よい太鼓の音につられて、ホノオ「大ちゃん数え歌」まで登場する始末 at 舞台上。
 終了10時過ぎ。英NYMTのプロデューサーも見に来ていたが、さあてどんなもんでしょうねえ‥‥いつものことだけど、あすが本番という実感が湧いてこない。で、そのことに対する焦りがいつも以上に出てきた。緊張が出てこないから焦る、というなんか禅問答のような頭脳展開の決戦前夜。う〜む‥‥
 アリナやダイチに前日撮った写真を大急ぎで焼き増しして渡した。たぶん本番終わったあとじゃ、もう会えないからね‥‥そのときダイチオロチボーイズの一人と演技打ち合わせをしてたんだけど、会話を彩る埼玉県の「ちょー」と益田市の「ぶち」が、なんか超おもしろいし、ブチおかしかったのでした。ちゃんちゃん♪

1月11日(土)

 初日の朝が来た!10時集合というと感覚的にはゆっくり目。2年前は早朝から顔塗りをしていたものだ‥‥年寄りかい。昔話ばっかりするようになったら終わりだぜ!
 当たり前だけど本番の雰囲気がそこかしこに漂っている。ピアノ庫には「ワイアレスブース」の表示。通路には美都町名物清涼飲料「ゆずっこ」が増量配置されている。美都町といえばオーディション組が夏に合宿した地でもあり、「ビヨンド」とは浅からぬ縁があるわけだ。
 前夜遅かったので、ゲネのダメ出しは今朝に持ち越されていた。「アクト1(1幕)‥‥パーフェクト。アクト2‥‥ガタガタ」‥‥まあセレモニー以降のシーンは言い訳できないが、森のシーンは原因として思い当たるものがある。レジスタンスの歌だ。もともとのテンポでは歌詞や間で入るセリフが聞き取れないというので、ゲネでは超スローに改められていたのだった。たしかに聞き取りやすくはなっていたが、オレなんかからしたら聞き取れなくても勢いがあった方が‥‥って思っちゃうんだけど。結局少しテンポをあげることになったらしい。しかし、それは本番当日にやることかな?ほとんどぶっつけ本番で、レジの人たちかわいそう‥‥あ、「レジの人」っていってもコンビニの話じゃないですよ!「レジスタンス」を短縮して「レジ」という言い方が現場では一般化していたのでした‥‥「1,000円からちょうだいしま〜す」‥‥「から」ってなんなんだ!?関係ないけど。
 12時からリハーサル。相変わらず沖田くん「カザンチェック」がしつこい。やれ「もしかして歌い方を変えた?」だの「さっきと芝居が違う」だの、やっぱり気になるんですな、前任者としては。でも結局最後は「うまいっすよねえ、カザン」で終わっちゃうわけだが。
 終わって昼飯、午後3時。そろそろHP用のネタを仕込まねば‥‥と最近ミュージカルに参加する動機が本末転倒気味のアタクシ「イチヤマのお父さん」だが、カメラ片手にウロウロ。ま、カメラはともかく本番前のひとときを楽屋にこもって過ごすなんてもったいない!あっちこっち出没して雰囲気を満喫して回る。んなヒマあったら演技プランとか考えろよ>おれ。
 てゆーか〜今回セリフとかないし〜などとさえずりながら小ホールの入り口近辺まで遊びに出て、元森のドラマー大庭くんや、ララVer1.0美江ちゃん母子に媚びを売る。そーか、今回はマイクテスト関係ない組だもんなあ‥‥あの時ってわりとおおっぴらにステージで写真撮ったりしてるんだけど、さすがに今回はそれもできず。子どもたちも通路で撮影大会をしていたが、通りすがりのNYMTプロデューサー(エゲレス人)の腕を、やおらムンズとつかんで無理やり被写体に引っ張り込んでしまったのは真庭ちゃんだった‥‥キャラ変えたの?元ダイチ‥‥。
 やがて開演間近となり、ステージに集合して小声の儀式。さあ、ここまで来るとなんだかだいいながらテンション上がってきた!っつか緊張してきた‥‥やり残したことがいっぱいある感じ‥‥大丈夫か!?いつものことか!?‥‥♪稽古不足を幕は待てない〜と歌ったのは梅沢登美男。
 オープニングはおなじみ「とびらのむこうに」。歌い回しがところどころ変わっている。
 「プレッシャー」この曲だけMD音源だ。コンピュータによる徹底管理の演出、でも歌ってる教師二人はティナ・ターナー。
 「そんなもんさ」が「みたされぬ想い」の前に来る。ここのミニライブ的演出とアッチェラレンド(?)していくアレンジはお気に入り。踊ってる方は大変だけど。
 「管理官の歌」に変わって登場したのは「くさり」。昨年から新聞をにぎわしている「住民基本台帳ネットワーク」を揶揄する歌詞がちりばめられている。
 我々は「PTA(グレートPTA)で花道から初登場。ついつい客席を気にしてしまう。お?けっこう入ってるじゃん‥‥チケットの売れ行きが芳しくないのを聞かされていたんだけど、これはうれしい誤算。
 「こころの声が」カザンのソロで完全新曲。現場での人気も高い。
 「両親の歌」本来カザンの両親のデュエットだったらしいのだが、PTAの出番を増やすとかで大勢口の曲になった。直前にナツコさんに立ち位置を微調整されたんだけど、いざ出番になったら意識が飛んでたな〜‥‥。
 「母の思い」ハルカのソロで、これまた完全新曲。噂ではカザン用に作ったメロディをこっちに転用した(?)とかで、作詞が「キャスト一同」となってるのは純子さん、アキコさん、まるちゃん、ミオ(つまりハルカ&ララの4人)の共作なんだそうだ。機会があったらそんなことも思い浮かべて聞いてみませう。
 「クラッシュ!」の前に来るのは「ラブリーME」じゃなくて「ドリーム」。「ラブリーME」の内容にダイチの夢を語るフレーズ、リサの「何もない(おなじみ)」の叫びがブレンドされ、感動的な盛り上がりで締めくくられている。ファーストだった子(男子)が変声期に入っちゃったとかで急遽アンダーから昇格した由比ダイチ‥‥最初のソロの所でキーが合わず苦戦してたんだけど、今日は高音がうまく抜けている!間違いなく最高の出来だ。本番の魔力を初めて感じたのがここだった。
 休憩に入り2幕の準備で舞台裏が騒然としている。やっぱ舞い上がってるのか、信くんの早替えの手伝い(メイクの下書き)を完全に忘れていた。自分でうまくやってくれたからよかったものの、こりゃ油断できねえ‥‥と思っていたら一大事勃発!!ジユウ(新キャラby峰雪くん)レジシャツがない!ちなみにレジシャツってのはコンビニの店員さんのシャツでは‥‥あ、しつこいですか?とにかく2幕が開けたらすぐ出番なのに衣裳がないってんで、一同顔面蒼白‥‥一丸となって捜索に走った。まあ、見つかって事なきを得たんだけど一番ヒヤヒヤした場面であった。ただ‥‥なんかみんなで一生懸命になってる感じがちょっとうれしかったね。見つかったからそう言えるんだけど‥‥。
 セレモニーの場面から高みの見物。立ってる位置が高いのだ。入ってるよお客さん‥‥しかもその食い付きがすごい。オロチが出てきたところで拍手、エンディングで花びらが落ちてきたところで拍手。あの〜まだこのあと2回リタルダンドするんですけど‥‥となにやら恐縮してしまうぐらいだが、やっぱりうれしいもんだ。だからノッた!エンディングからカーテンコールにかけては自分史上最高の出来だったと自画自賛してしまう。そして初日とは思えないほどの感動におそわれた。これはオレだけじゃなかったみたいで、楽屋に戻ってからもみんなのハイテンションがなかなか収まらなかった。これじゃ、あしたはどうなってしまうのか‥‥。
 松江のあい地球っ子・キティから花束が届いていた‥‥ありがとう!そして新垣夫妻からの差し入れは「元管理官と教師Aさんからで〜っす」と言ってみんなでいただきました。

1月12日(日)

 ああ、早く書いとかないと忘れちゃうわ、ってもう5ヶ月以上たってるのに何やってんのかしらこの人。
 きのう初日なのに今日は楽日(らくび)。「楽」は相撲の千秋楽の「楽」と同じ。まあ2日公演なんだから当たり前だけど、NYMTだと10回公演とか20回公演とかするらしい。
 集合は11時・・・11時!? 遅そ!! 本番2時からだよ、おい‥‥大丈夫?
 またもコロッケを楽屋にセットして、最後のダメ出しのためにロビーに集合。
 そこでオレを待ち受けていたのが、ちがう!みちみちばらばら。知ってる人は知っている、知らない人はコイツ誰?状態の松江「あい地球」妖怪系コンビ。ミュージカルとかこういう場所にはあなたの知らないうちにもどんどん浸食していくリアル汚染軍団の彼&彼女らはなんで初登場の益田でいきなり受付の手伝いやっとんじゃい!!‥‥てな感じで‥‥ホント感心します。そこまで前に出てくれると、法澤さんにも「松江の人たちです」って紹介しやすいったらありゃしない。このあとビデオの受付までやっていただいたそうです。ありがとね。この二人を先発隊として、今日は松江&川本から大勢見に来てくれることになっている。恥ずかしいマネはできん。
 で、ダメ出しだが、ここにきてレジの歌はさらにテンポアップ。このあとまだ何公演もありそうな‥‥あ、あるんだっけ、4月東京で‥‥自分や、何人かの大人は今日が最後です。でもねえ、「東京のことなんですけど‥‥」って法澤さんはあのニコニコフェイス (^ ^)/ で何回もやって来るし、カルチャーリンクスのPDの砂田さんも楽屋まで説得(?)に来るし、まあ正直、このメンバーに情も移ってきてるから放っとけない気持ちにもなるんだけど‥‥
(※注 ‥‥結局、合宿組以外でも島田・岡崎の両護衛や樹理ちゃんらが東京公演に参加しました)
 2時開演だから時間もないけど、例によってウロウロしてたら、我らが高志先生に遭遇!でも楽屋裏で個人的に会ったってだけで、別にメンバーのみんなに紹介されるわけでもなく、何なんでしょう?の感あり。3月の「人麻呂裁判」の打ち合わせなんだそうです。今回の新曲はノータッチなのかと思いきや、「くさり」とか「こころの声が」の作詞は高志先生だったみたい。これからも良い詞をお願いします、高志先生!
 本番数日前ぐらいになってオケの人たちのハイテンションぶりも見えてきた。衣裳をつけたキャストを捕まえて写真撮影ってところをよく見かける。オケもキャストと同じで地元&他県の混成組なんだけど、こなれてみるとけっこう陽気な人が多そう。もっと時間があったら仲良く慣れたのにねえ‥‥
 さて、あっという間に本番! 今日こそは信くんのメイク直しをサボらないようにしなければ‥‥例によって儀式を執り行い、上手にスタンバイ。いや、まだ出番まではかなりあるんだけどね‥‥ララは上手の花道から出ていくんだけど、早くスタンバイしすぎて時間をもてあましたみたいで、こっちにトボトボ来るまるちゃん「見ててください」と自信のコメント。確か2年前には緊張すると右肩が上がる、とか言ってたよなあ。その辺は脱却したのか?とかいろいろ思ったりする。
 思ったりするけど開演の時は来た。
 お客さん、さらに入っている。「PTA」の時は上手の花道で歌うんだけど、すぐ下のお客さんの様子が何となくわかるんだよね‥‥つくづく松江&川本の人たちの席を下手側で買っておいて正解でした(狙ったわけじゃないんだけど‥‥虫の知らせがあったんかな?)。
 なんと今回は2幕にもオーバーチュアが!
 で、2幕と言えば森なんだけど(ああ、劇団「もり」どうしたかしら‥‥)今回は廃れた神社の境内という設定。上からおみくじを結びつけた木の枝が垂れ下がっていて‥‥あ〜この「おみくじ」のアクセント話があったよなあ。全国規模のキャストの中では「えー!?そんな言い方しないよ!」とか「発音が違う!」とかいうことが多くて、ま、言ってみりゃ全日本田舎者選手権状態なんだが、「おみくじ」については石見人の間でもいろんな解釈が‥‥「み」だけ上げる言い方と「みくじ」を上げて言う言い方と、どっちが正しいかという無駄な論議で時間を費やしたモンであった。で、結論がどっちになったのかオレ知らない。どっちでもいいし。
 やっぱり秘境っぽい演出があるんだけど、冒頭では袖に控えてる子どもたちが声を出したり体を叩いたりして鳥の声や植物のざわめきを作っている。NYMTの真骨頂という感じ。
 新曲「レジスタンスの歌」はクラリネットの音が印象的なカッケー曲(注※‥‥東京公演ではさらにテンポアップしたそうです)。ただ、今回の鈴木和郎さんは全般的に男声が上、女声が下というコーラスアレンジが多い。この曲もそうで、女の人が若干歌いにくいかも。
 カザンの「こころの声が」リプライズは先週急に入ったもの。でもそんなこと関係なくこなしてるなあ、さすがさすが。パンフレットにもちゃんと入ってる。印刷所の方、お疲れさんでした。
 “りーけむけむ”に変わって「オロチを讃える歌」が登場。ずいぶん静かな曲にチェンジしたモンである。楽器もいろいろ出てきて、「とびら」では徳利だったひょうたんがマラカスみたいに使われたりしているが、レジの安紀子さんが持ってる三味線がなんといっても渋さナンバーワン。
 森のシーンとセレモニーのシーンの間にララの家のシーンが追加されていて、そこで出てくる新曲が「誰か教えて本当のことを」。初めてのマイナーコードのバラードで、「とびら」だとちょっと似合わない感じの曲。これも「ビヨンド」ゆえか‥‥この間に後のセットは180度大回転。15面パズルみたいに順序良くセットの部品を動かさないといけないんだけど、このとき中心の高い位置に乗って操作の指示を出していたのが演出助手の澤井さんという人だと知ったのは、本番終わってだいぶたってからのことだったとさ。
 セレモニー2日目。真ん中のスクリーンに「卒業式」って書いてある。「セレモニー」でええやん‥‥。垂れ幕みたいなのが何本かぶら下がってて、それにも日本語で何か書いてあるんだけど、真下からだとなんて書いてあるのか全然見えん。きっと西洋人のセンスで表現した日本の風景みたいになってんでしょうねえ‥‥。
 スクールの化けの皮がはがれるあたりから例によってキャストのテンションもクライマックス。カザンの悲痛な叫びにあおられて、気がついたらこっちに目で訴える芝居の樹理ちゃんウルウル状態になってて‥‥正直心の中で「負けた!」と思いましたね。まあ、負けっ放しではいけないので心を入れ替えてがんばりました。
 “♪でもだめね”ではじまる「振り返れば そこに」。位置的には「しあわせ?しあわせ!」のところなんだけどガラッと変わって、ジャズシンガー純子さんの真骨頂炸裂で始まり、「ビヨンド」を彩る三つの愛を歌い上げつつ後ろで我々のダダすべりストップモーション芝居を見てホット一息入れていただきましょうという趣旨の曲だ(そうか?)‥‥これもかなり流行ったなあ、“♪でもだめね”
 エンディングは「旅立ちの歌」。つくづくいい曲だ。それしか言葉が見つからない。グレイトな曲でグレイトな舞台はその幕を閉じた(厳密にいうと幕は下りないが)。
 カーテンコールは「とびらのむこうに」リプライズ。2年前の「とびら」ではオープニングのままの歌詞で歌って、それでフラストレーションが溜まっていたものだが、今回は歌詞も直されている。松江の隊長「飛んでた」って言われたけど、それはオレが、真正面に見えるアリナの後ろ姿を見ながら歌ってたからでしょう。アリナはホントに元気だったからそれにつられて‥‥で、観客の中にやたら大声で誰かを呼んでる集団がいたから、正直「やかまし〜な〜」って思ってたのだが、気づいたら呼ばれてたのはオレだった。松江&川本軍団の本領発揮、でいつもなら「やめんかい!」ってところだが、こっちもハイになってるからうれしかったっス。

 松江&川本の妖怪ご一行様は当然のように楽屋まで侵出。予告どおりオレが松江の「あい地球2002」のためにデザインしたTシャツ姿で揃えて、まんまとマークまで釣り上げて井戸端汚染地獄にひきづり込んでいた。ララやカザン、リサにまで手を出したらしい‥‥わたしは無関係です!!‥‥
 証言:F部りっちんさん「マークがあたしらを「ユージのファンクラブ?」って聞くので、めんどくさいからみっちゃん(みちみち)が「イエス!」って言ってた」
 ‥‥めんどくさいてどういうことやねん!

 例年ならあんまり考えられないことだが、本番後、フィルムを買いに町へ行って(人の分まで)、それから臨んだ打ち上げの宴。今年は大ホールロビーで。まだ4月の公演もあるからみんなあんまり感激してないかな?って思ったけど、いい顔してましたよみんな。

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