いんとろだくしょん (2000.5.12)     [またとびらhomeへ]

「とびらのむこうに」を紹介するにあたって3つのキーワードを掲げてみました。

第3回石西音楽祭
 「とびらのむこうに」は石西県民文化会館(島根県益田市)の開館20周年記念事業として企画されたミュージカルです。同会館ではこれまでにも「石西音楽祭」として、平成9年度から「第九」演奏会、ミュージカル「あいと地球と競売人」等の市民参加型の音楽行事に取り組んできました。第3回となる今年は、さらに一歩進んでオリジナルのミュージカルを上演する事が自然な流れとして求められた様です(ただ、初演の今回はなぜか公式には「創作こども音楽劇」と呼ばれます。次回からは「ミュージカル」と銘打たれる模様)。

脚本:田渕久美子
 2度の「あいと地球と競売人」上演の実績があるとはいえ(
「石西音楽祭」としては1度ですが、平成8年度にも上演されています。)、今回はコンセプトメイク/脚本製作から取り組まなくてはなりません。最初から製作期間が著しく制約されていた事は想像に難くありませんが、長く会館の財産となっていく作品ですから、製作サイドとしてもこの段階を中途半端にするのは避けたかったことでしょう。地元出身の著名な人材として田渕久美子氏に白羽の矢がたてられました。単純に、スタッフの一人としてこの名が載るだけでもインパクトのある人選と言えます。もちろんその実績に加えて「ご当地ならでは」のプラスアルファに寄せる期待もあってのことでしょう。

それぞれの役割
 劇中のセリフとしてもでてくる、この作品のメッセージです。「個性」と言うと権利的な面が強くなりますが、「役割」という言葉には義務的、言い換えれば「なすべきこと」といった意味合いがともないます。ひとりひとりが「なすべきこと」を考える時、生きることの意味にも思いが行くでしょう。そこまで表現できたらキャストとしては100点!なんですけど‥‥
 キャスティングとはまさに「役」を「割」振ることですが、「それぞれの役割」というメッセージのために8人(最終的には11人)の子どものキャラクターが創られました。それ以外の子どもたちにも「自分はどういう人なのか」「自分はどう思い、どういう立場をとるのか」を考えて演技をするように求められています。ただ初演の今回は製作事情により、そのあたりの表現が若干スポイルされた感があります。上演されたものと脚本の決定稿との違いを知らないと分からない話ですが、次回公演では復活の余地ありと思われるので、これはこれで楽しみの一つです。
 その一方で、メッセージのアンチテーゼとして登場する「スクール」サイドは過不足なく表現されていると思います。とくに大人の方には、彼等の一見「正論」めいた主張にも耳を傾けて欲しいと思います。


 ここでキーパーソンである4人の大御所の印象を、お近づきになった自慢がてらご紹介します。(敬称略)
田渕久美子(脚本)
 麗人です。お目にかかった範囲では、人前での表情にも隙がありません。わざわざ今井美樹に頼まなくても自分で主演すれば‥‥と思うくらい。個人オーディションを受けた山田くんは作品のテーマについて熱の入ったレクチャーを授かったそうです。我々素人にも暖かいまなざしを注いで下さいました。
ごんどうけん(演出・振付)
ごんちゃん熱血指導 我々一般キャストは世代的にも近く、ややもすると友達感覚に陥りそうで申し訳ないんですけど‥‥それぐらい緊密に接して下さいました。こっちとしては演出家との生のやり取りによって役者気質が盛り上がって来るわけで、なかなか心憎い手綱裁きです。おそらく子供の目には「イカす兄貴」として映ってたんじゃないでしょうか。お偉方と我々との板挟みの構図が容易に想像できますが、これに懲りず、今後も石西ミュージカルの面倒を見て欲しい方です。奥さんもかわいい!(お年を聞いてびっくり)
田渕高志(作詞)
 飄々としていて、挨拶などを聞くとかざらない、面白い方です。番人Bの小倉さんは同級生だとか。そんな旧知の人たちの前では一瞬にして益田人に還ります。
はじひろし(作曲・編曲)
 大阪出身だそうですが、むしろ京都のにおいを感じます。のんびり、ゆったり、のほほん茶‥‥おかげで曲作りの進行具合にはやきもきさせられましたが、でき上がった曲は素晴らしいものばかり。本番後「自分の曲で感動できるなんて」と語っておられました。もったいないお言葉です。

[またとびらhomeへ]