費用対効果の高いIT活用の模索〜歯科医師のQOL向上を目指して〜
日本歯科医療管理学会中国地区学術大会,広島県歯科医師会館,2005年11月20日.

   ことぶき歯科医院 齋藤寿章

 歯科医院でのIT利用は、電子カルテやレセコンに代表される診療録の記載と診療報酬請求業務、あるいはカメラやX線装置のデジタル化による画像の保管と通信業務等多岐に亘っている。これらを利用するためのハード面への初期投資が発生するのは当然であるが、運用するためのソフトも必要である。歯科に特化したソフトは高額なものも多く、しかもある程度使用してみなければ利用価値があるかどうかを判断することができない。近年、OSの動作も安定しユーザーに用意されている標準機能やソフトもその利便性を高めている。今回の発表では、自作の歯学用語のかな漢字変換用辞書と画像保存のためのAppleScriptそしてフリーウェアのDICOM Viewerの活用を御紹介する。
 「ことぶき歯学辞書」は、歯学用語の入力をより快適にするために辞書である。1998年ホームページ上で試用版の公開を経て、2000年に初版をフリーウェアとして配付している。(http://www.geocities.jp/kotobuki_dental_office/)。
 「DropStock」は、MacOS付属のAppleScriptで作られたアプリケーションである。デジタルカメラの画像を媒体から抽出・保存する作業を自動化したものである。「処理した年月日(時分秒)ディスクの名称」を示したフォルダを作り、そこへ画像がコピーされ「撮影した年月日(時分秒)画像番号.拡張子」に画像の名称を変更するスクリプトである。
 「OsiriX」は、UCLAの放射線科の医師が中心となって開発されたDICOM Viewerである。様々なモダリティからDICOM規格に準拠した形式で出力された画像は、DICOM Viewerでみることができる。フリーウェアでありながら多彩な機能を持つ「OsiriX」での画像を供覧する。
 歯科医師は業務として、対象とする方々の口腔疾患の治療と口腔の保健そしてQOLの向上に日々勤めている。ITが進むに連れて我々はその技術に翻弄され、業務が煩雑になったかのような印象を持つことさえある。ITの僕にならないようにちょっとした努力も必要であり、その努力によって始めてITによる効率化を実感することができるのかもしれない。ITの活用は、我々歯科医のQOL向上にも繋がらなければならない。


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