15.ドイツの戦艦「ビスマルク」は世界一ィィ!!

ビスマルク級は第2次世界大戦時、ドイツ海軍が保有していた唯一の戦艦である。艦型は
1939年に竣工した巡洋戦艦「シャルンホルスト」とよく似ており、非常にバランスのとれた
流麗なスタイルをしている。設計は第1次世界大戦中のバイエルン級戦艦をタイプシップとして
進められ、その特徴を取り入れているが、中でも防御関係ではそれを再現したといってよい。
海軍部内では1932年から次期装甲艦の設計を進めるのと同時に本格的な戦艦の設計計画に着手し、
「ビスマルク」は1936年に設計を終えて建造に着手され、1935年に除籍となった
ハノーヴァーの代艦として建造された(仮称艦名F)。
1935年の再軍備宣言に続いて締結された独英海軍協定では、戦艦の基準排水量は
35,000t以下、主砲口径16インチ(40.6p)以下と定められたため、本級の基準排水量は
35,000tと公表され、実際の値が明らかになったのは戦後のことである。
主砲は38p連装砲を艦首と艦尾に2基ずつ配置、副砲は15p連装砲を砲郭ではなく
砲塔に収めて両舷に3基ずつ搭載した。そして、優れた光学技術を駆使して造られた測距儀や
射撃指揮装置により、ビスマルク級の砲撃精度はきわめて高かった。そのことは、初陣の
「ライン演習」作戦におけるイギリス海軍との戦闘が実証している。
ビスマルク級の防御力はきわめて強固で、装甲にはクルップ社が開発したニッケル・クローム・
モリブデン鋼「ヴォタン」を使用、砲戦距離の延伸と航空機の発達を考慮して水線防御を強化し、
垂直防御は逆にバイエルン級よりも幾分薄めにしている。
推進方式は、第1次大戦からの伝統である3軸推進で、主機はブローム&フォス社製の
タービンを搭載し、138,000hpの出力を発揮した。なお、公試時に150,170ph、
30.1ktを記録しており、高速戦艦の名にふさわしい航行性能を見せている。
煙突と後部上構間には横方向にカタパルトが装備されており、飛行機をいずれの方向にも射出できた。
同型艦の「ティルピッツ」は、「ビスマルク」と基本的には同一だが、排水量が若干増加、
また燃料搭載量を増し航続距離の延長を図っており、さらに竣工時には55.3p4連装魚雷発射管が
2基追加されている。

竣工翌年の1941年5月18日、「ビスマルク」は
重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」を引き連れ、
「ライン演習」作戦にゴーテンハーフェンを出港した。
この作戦で、「ビスマルク」はわずか数分で英海軍の
巡洋戦艦「フッド」を撃沈し、新造戦艦「プリンス・
オブ・ウェールズ」を大破させるという大戦果を
挙げている。その後雷撃機の攻撃を受けて舵に致命傷を負った「ビスマルク」は、
おびただしい数の被弾、被雷によって5月24日ついに撃沈されるが、「ビスマルク」追撃に
イギリス海軍が投入した兵力は、本国艦隊全艦に及んだことは特筆に値する。
なお、この「ビスマルク」追撃戦は、『ビスマルク号を撃沈せよ!』という映画にもなっている。
戦艦「ビスマルク」諸元表 |
基準排水量
(t) |
41,700 |
全長(m) |
251 |
全幅(m) |
36 |
吃水(m) |
10.2 |
速力
(kt) |
29 |
航続力
(海里) |
9,280/16kt |
燃料搭載料(t) |
重油7,900 |
装甲
(o) |
水線320、甲板120、
主砲塔前楯360、
主砲塔天蓋130、
指令塔360 |
|
主缶 |
ワグナー高圧缶12個 |
主機、軸数 |
ギヤード蒸気タービン3基、3軸 |
出力(hp) |
138,000 |
兵装 |
38p連装砲(L47)×4、
15p連装砲(L55)×6、
10.5p連装高角砲(L65)×8、
37o連装機関砲×8、
20o4連装高角機関砲×10、
水上機×6/射出機×1 |
乗組員 |
2,092名 |
進水 |
1939年2月14日 |
竣工 |
1940年8月24日 |
戦没 |
1941年5月27日 |
同型艦 |
ティルピッツ |
|
〜参考文献〜
『戦艦名鑑 1891〜1949』光栄
『世界の艦船 1989年3月号増刊 ドイツ戦艦史』海人社
『世界の艦船 1982年12月号増刊 第2次大戦のドイツ軍艦』海人社
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