7.ドイツの急降下爆撃機「Ju87」は世界一ィィ!!


Ju87D−1


Ju87はドイツ空軍の急降下爆撃機に対する要求に応じて開発され、1935年4月に

原型機V1が完成した。その特徴は、主脚の長さを抑え、コクピットからの前下方視界を高めるため、

主翼を逆ガル式にしていたことにあった。補助翼とフラップは後縁の線より少し下がった位置につく、

ユンカース独特の「ダブル・ウイング」方式である。V1には間に合わなかったが、

V2からは外翼部の下面に降下速度を抑えるためのエアブレーキ(通常は水平になっているが、

降下時には気流に対し直角に立つ)を装備した。主翼2本の桁にリブを比較的密に配し、

中央翼は胴体と一体の構造にしていた。胴体は生産を容易にするため、上下別々に製作した後

結合するようになっている。これらの基本的な構造は最後まで変わらなかったが、

V1は主脚にズボンのような大きなフェアリングを施して、胴体からの斜め支柱で補強し、

尾翼は双垂直尾翼型式で、我々がなじみ深いJu87Bよりかなりいかついスタイルをしていた。

このJu87の競争相手として複葉のアラドAr81と単葉引込脚のハインケルHe118が

開発されていた(ハンブルガーHa137は単座なので正式な候補とはされていなかった)。

Ar81は機体を比較的小型・軽量にまとめていたので、複葉ながら速度ではJu87に優っていたが、

発展性に乏しいとして落選した。引込み脚という近代的な形態を取り、850hpのエンジンを装備した

He118はJu87より70q/h近くも高速ではあったが、構造が複雑な上、急降下の特性などが

Ju87に劣るのが大きな欠点された。これらの比較審査が行われた1936年には

Bf109、スピットファイアといった近代的な戦闘機の原型機がすでに登場していたのだから、

ある程度時間がかかるのは覚悟の上でHe118の改良に手をかけるという道もあったろうが、

空軍はJu87という堅実な機体を選んだのである。

胴体下に爆弾を搭載して出撃するJu87D−1Ju87が大戦の緒戦期に目覚しい活躍を見せたことは

あまりにも有名だが、それは制空権下の話であり、

イギリス戦闘機が待ち構えていた「バトル・オブ・ブリテン」に

おいては低速のJu87は大きな損害を出して戦線から

引き下げられることになった。それでも相手の戦闘機兵力がさほどでもなく、味方戦闘機が十分に

援護できるような戦線においては、まだまだ有用であると考えられ、その後も生産は続行された。

そして、1944年9月に最終機が送り出されるまでに、総生産数は5,700機を越えたと

記録されている。Bf109の約3万機、Fw190の約2万機という数字には

遠くおよばないにしても、これだけの数がこの時期まで生産され、そのピークが

1943年(1,844機)にあったことを考えると、旧式とされつつもJu87がいかに

必要とされたかがわかる。

Junkers Ju87D−1諸元表
乗員
全幅(m) 13.80
全長(m) 11.50
全高(m) 3.84
主翼面積(u) 3,190
空虚重量(t) 3,870
全備重量(t) 5,720
発動機名称 ユンカース
Jumo211J−1
離昇出力(hp) 1,400
最大速度(q/h) 408(高度4,200m)
離陸速度(q/h) 110
実用上昇限度(m) 7,320
航続距離(q) 1,530
火器 7.92oMG17×2、
7.92oMG18×2
爆弾 1400s×1、
または
500s×1+50s×4
生産開始年月 1941年4月
製造 ユンカース航空機・発動機製作所

〜参考文献〜

『航空ファン別冊 ILLUSTRATED 49 第二次大戦ドイツ軍用機』 文林堂

『世界の傑作機bP1 ユンカースJu87 スツーカ』 文林堂

『グラフィックアクションbQ9 WWU ドイツ空・海軍兵器図鑑』 文林堂


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