5.ドイツの中戦車「Pz.Kpfw.X」は世界一ィィ!!
X号戦車「パンター」は、ソ連のT34に対抗する目的で開発された戦車で、
全体的なデザインは従来のドイツ戦車とは異なるシルエットを持っていた。
その特徴は、車体全体に避弾経始を取り入れ、キャタピラーを幅の広いものにして
乗心地をソフトで安定したものにし、転輪がティーガーと同じようなオーバーラップ式と
された点などである。
開発はヒトラー直々の命令によって行われ、仕様は、重量35t、武装は7.5p砲、
装甲は車体正面60o、砲塔正面100o、速度は60q/hとされた。
そして、MAN社、ダイムラー・ベンツ社が競作で行った結果、T34のコピーだった
ダイムラー・ベンツ社の案「VK3002(DB)」よりもMAN社の設計案
「VK3002(MAN)」が優れていると判断され、1942年11月から生産が開始された。
パンターの生産は、ドイツ戦車の中で最優先の指定を受け、先行生産型の製造から
量産ラインの準備までが他の戦車を押し退けて進められている。
43年7月に予定されている東部戦線での夏季攻勢に投入することが決定されたパンターだったが、
開発を急ぎ過ぎたため機械的欠陥が続出した。特に問題となったのは、予定よりも重量が
増加したことで、より強力なエンジンが必要となり、それが結果的に冷却装置の能力不足による
オーバーヒートを生み出した。最初期の「D型」の中には、冷却不良で炎上したものさえ
存在したといわれる。
パンターは、防御力と攻撃力の両面でバランスのとれた
戦車だったが、ギア・ボックスが脆弱で方向転換も
難しかったため操縦には熟練を要し、経験不足の戦車兵が
操縦した場合はギアを破損する場合もあった。
このため、43年7月に開始された夏季攻勢
「ツィタデレ(城塞)」作戦では、多数のパンターが
マシン・トラブルで脱落し、期待された成果を上げることができなかった。
その後、実戦における戦訓によって各部に改修が加えられたA型が43年8月から、
そして車体形状に若干の改修を加えたG型が44年3月から生産されている。
大戦末期には武装を8.8p砲にしたF型も開発されたが、試作だけにとどまっている。
| Pz.Kpfw.X ausf G(Panther
G) 要目表 |
| 戦闘重量(t) |
44.80 |
| 車体重量(t) |
37.85 |
| 乗員 |
5 |
| 寸法(o) |
|
| 全長 |
8,860 |
| 車体長 |
6,880 |
| 全幅 |
3,270 |
| 全高 |
2,995 |
| 地上高 |
560 |
| 接地長 |
3,920 |
| 履帯中心線間距離 |
2,619 |
| 履帯幅 |
660 |
| 接地圧(s/cu) |
0.87 |
| 装甲厚(o) |
|
| 車体前面 |
80 |
| 車体側面 |
50 |
| 車体上面 |
40 |
| 砲塔前面 |
100 |
| 砲塔側面 |
45 |
| 砲塔上面 |
15 |
|
| エンジン |
マイバッハHL230P30 |
| 出力(PS) |
700 |
| 燃料容量(g) |
730 |
| 武装 |
|
| 主砲型式 |
7.5p Kwk42/70 |
| 機銃 |
7.92oMG34×2 |
| 近接防御兵器 |
Nvw |
| 携行弾数(主砲) |
82 |
| 携行弾数(機銃) |
4,200 |
| 行動能力 |
|
| 最高速度(q/h) |
45.7 |
| 登坂能力(°) |
35 |
| 超壕能力(o) |
1,910 |
| 超堤能力(o) |
914 |
| 徒渉水深(o) |
1,300 |
| 行動距離(q) |
177 |
| 最小旋回半径(o) |
10,000 |
| 生産台数 |
3,126台
(1944〜45年) |
| 製造 |
MAN社
ダイムラー・ベンツ社 他 |
|
〜参考文献〜
『第2次世界大戦のドイツ戦車』 サンデーアート社
『グラフィックアクションbQ8 WWUドイツ陸軍兵器図鑑』
文林堂
『第2次大戦のドイツ戦車 パンサー戦車写真集』
文林堂
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