9.ドイツの潜水艦「]]T」は世界一ィィ!!


]]T型の1隻U2518


第2次世界大戦末期に出現したUボートの]]T型は、それまでの「水中航行もできる可潜艦」に

すぎなかった潜水艦とは一線を画す新たな潜水艦で、戦後の水中高速艦時代への先駆けだった。

]]T型のベースとなったのはワルター・タービン・エンジン搭載艦として試作された]Z型だった。

新型Uボート]]T型の開発にあたってドイツの技術者たちは水中航行に重点を置き、

さらに酸素供給を受ける必要のない動力機関を採用する、というコンセプトを立てており、

]Z型はそれに基づいた設計開発がなされていた。したがって、その設計が]]T型の

ベースとなったのは当然といえた。

渠中のU3001 ]]T型は複殻式の構造を採用しているが、その断面は

ダルマを逆さにしたような形となっている。これは水中航行に

必要な電池を大量に搭載することと、重心位置を下げることを

目的としていた。また水中航行に重点を置いたことで水中での

抵抗を少なくする努力が払われ、備砲は廃止され、対空機関砲も

艦橋と一体化されるなど、その形状は従来のUボートとは

大きく異なるものとなった。

また攻撃力を向上させるため、艦首には6本の魚雷発射管が設けられた。魚雷の装填は

動力式となっており、発射から再装填に要する時間は約15分と短縮されていた。速力については、

水上で15.6ノット、水中で17.5ノットを出すことができ、水中での速力が水上での速力を

上回るという高性能を発揮し、活躍が大いに期待された。

]]T型は、終戦までに102隻が建造されたが、機会トラブル、特に油圧装置の故障が

続発したこともあり、実戦ではこれといった戦果を挙げることはできなかった。

その真価を発揮することなく終戦を迎えた]]T型は、戦後はドイツ海軍とフランス海軍が

1隻ずつ使用したほか、アメリカ海軍は接収した]]T型を調査研究し、戦後の潜水艦開発に

大いに役立てている。


Uボート「]]T」諸元表
排水量(t) 1,621(水上)
1,819(水中)
全長(m) 76.7
全幅(m) 8.0
全高(m) 6.6
最大速度
(kt)
15.6(水上)
17.5(水中)
航続距離
(海里)
28,710/10kt(水上)
9,445/15.6kt(水中)
燃料搭載料(t) 250
許容潜行深度
(m)
270
主機 5,000hp2軸ディーゼル機関、
226hp電動機
最大出力
(hp)
4,000(水上)
226(水中)
兵装
(魚雷)
53.3p魚雷発射管×6(艦首6)
兵装
(砲)
20o連装機関砲×2
乗組員 57名
竣工年 1944〜45年
同型艦
隻数
135隻

〜参考文献〜

『グラフィックアクションbT4 大西洋の餓狼2 ドイツUボート艦隊、出撃せよ』文林堂

『グラフィックアクションbQ5 連合軍が恐れたドイツUボート 大西洋の餓狼』文林堂

『第二次世界大戦文庫9 Uボート』サンケイ出版

『世界の艦船 1982年12月号増刊 第2次大戦のドイツ軍艦』海人社


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