『改めて今 世阿弥さんから学ぶこと』    
☆ 以前にも、世阿弥さんの言葉を引用させてもらったことがありますが、この 混沌とした世界情勢、経済の大混乱をみると、改めて世阿弥さんが「風姿花 伝」のなかで言われた言葉を噛みしめたいと思います。
    その前に、「経済」について。この言葉は開国された明治期に導入さ   れた英語エコノミーの翻訳語として使われはじめ今に至っています。
    元々、「経済」は中国の古典に使われている言葉「経世済民(けいせ   いさいみん)、経国済民(けいこくさいみん)」の略語。
    この「経世済民、経国済民」の本来の意味は「世の中をよく治め、人々   を救う」という意味です。
    だから「済」という漢字は今でも「共済」「救済」「済生」等で使われてい   ます。そいう意味では。最近よく耳にする経済の形容語としての「強い」   は不適切。もし形容するなら「豊かな、充実した」という言葉が適している   と思います。
☆ さて、世阿弥さん。世阿弥さんは室町時代に日本の伝統芸能「能楽」を大 成させた方としてとても有名な方ですが。その能楽の秘伝、芸術論として著さ れたのが「風姿花伝」。
  この中で世阿弥さんは能楽に関する様々な奥義を説くかれていますが、そ の中で今回改めて取り上げたいのが「男時(おどき)と女時(めどき)」。
  今の混沌とした現代を考える時、とても参考になるのではと思います。
  この言葉、男、女の表し方は現代では適切ではないと考えることもできると 思いますが、それは一旦置いといてその意味を学びましょう。
  ◎ 男時とは「勢いがあり、何をやってもうまくいく幸運な時期」      ◎ 女時とは「運気が停滞し、何をやっても結果が出ない不遇の時期」
 を意味しています。
   これを世阿弥さんは、これを「観客を惹きつけられる絶頂期とそうではな   い時期」に当てはめて使われたようです。そして全ての物事にはこの二つの  流れがあり、それを知り、見極めることの大切さを述べておられます。
   そして男時の時こそ「油断せず、細部まで気を配り、次への準備を怠らな  いこと」
   女時の時は「無理に動かず、力を蓄える期間と捉え、地道に努力や研鑽  を積むこと」の大切さを述べ、そして加えて次のように言われています。
  「女時があるからこそ、次の男時で再び大きな花を咲かせることができる」  と説かれています。 
   今は時の流れを直線的に、しかも順調のみを期待する風潮が強いように  思います。是非「女時」も大切にじっくりやってゆきましょう。    (禿)




 

編集後記