「食べ物と言葉」
☆ 年末を迎えました。今年一年はあっという間に過ぎていったように思 います。人の営みに大切な季節季節の行事や、学校などの行事も中止や 異例のやり方での開催で子ども達の戸惑い、そして子育て中の親御さん の苦労も色々と多かった一年のように思います。
新しい年、なんとか新型コロナ感染も収まり穏やかな日々が戻ってく ることを心より願います。
経済活動の停滞や中止での苦難も多い一年でした。そして社会を暗澹 とさせる事件等も多く、自らの命を絶つ人も今年は全国的に増加したと 伝えられています。その中でSNS(会員交流サイト)による誹謗中傷 が元で亡くなられたタレントさんや若い人も複数の報道があり心痛みま す。
そこで思ったのは人の成り立ちのこと。人の心身を、作り支えている のはやはり「食べ物と言葉」だなあということ。
身体そのものは色々な食べ物の栄養で支えられ、そしてそこからエネ ルギーももらい健康を保っています。もう一つは言葉。この言葉を身の 内に入れ、そこからも栄養やエネルギーを得て日々の活動にあてている のだなあと改めて思います。
☆ 問題は毒を含んだ食べ物や言葉を身に取り込めば中毒や、場合によっ ては死に繋がるという危険があるということです。
言葉は姿形がなく捉えようがないものに見えますが、確実に身の中に 入ってきます。
キリスト教の聖書には「人はパンのみにて生きるものにあらず、神の 口から出る一つ一つの言葉で生きるものである(マタイ伝)」とあり、 仏教では「和顔愛語」を布施の一つとしています。
いずれにせよ東西の宗教は食物に劣らず言葉をとても大事な食べ物と しているように思います。
私達が今思いを巡らさなくてはならないのではと思うのは、毒のある 言葉を投げかけられた時、どう対処するのか。また自分が他人に毒のあ る言葉を投げかける時と言うのはどんな時なのか。それを問うことが大 事な時のように思います。コロナ禍の中で学べる大切なことの一つのよ うに思います。
☆ 食事を作ってくれる人に感謝。温かい言葉を届けてくれる人に感謝。 食事を自ら用意すること。他人へ温かい言葉を届けることを大切にして 新しい年を迎え、質素ながらも心豊かなそして穏やかな年にしてゆきま しょう。 (禿)