「『はなす』ということ」
☆ 「はなす」と聞いて、皆さんはどういうイメージを持たれるのでしょ うか?
   最近になって、改めてこの「はなす」には漢字で書くと「放す」「離 す」「話す」という言葉として連なるのだと知りました。
  
  そして、辛い気持ちや重たい気持ちを「はなす」ことによって、そう した気持ちがこの身から「はなれ、はなたれ」、それが半分になり身が 軽くなるということのようです。精神科ドクターの神田橋條治さんは「愚 痴は普遍的健康法」とも書いておられます。
  そして逆に楽しいことや、嬉しいことなどを人に話し聞いてもらうと それは倍になります。三人で話すと三倍に。
 
  そこで大事なのがその話を聞いてくれる人の存在です。
  色々なことで悩んだり辛い気持ちになった時、嬉しいことなどを聞い てもらいたい時に互いに話を聞き合うことができる人がおられることは 人生を歩む上でとても大事なことだと思います。
  南方熊楠に「交わりに四季あり」という言葉もあり、交際にも四季が あり次第に疎遠になってゆくことはあるとしても。
 
☆ 職業としての聞き手はカウンセラーと呼ばれる人たち。相談を、話を 受けるプロ。心に関わることなら心理カウンセラー、結婚のことなら結 婚カウンセラー、ペットの飼い方ならアニマルカウンセラー等々。今は 一昔前と異なり多種のカウンセラーさんがおられます。
そういう人に相談することで、また思いがけない新たな人や世界との 出会いが始まります。悩みや辛さがプラスに転ずるというわけです。
 
  ただ、前回にも書きましたが、色々なことを人に訪ねたり、話を聞い てもらうというより、「AI」と言う機械に対応、方法としての正解、 それも即答をもらうという風潮が今は加速されているように思えそれに は危惧を感じています。内容によってはAI活用も当然ありとは思いま すが。
  AIの直線的関係には人の広がり深さに欠け、人の織りなす面、深さ そして不思議な縁、豊かさを失うことに繋がっているように私は思って います。                         (禿)

編集後記