「アドラー博士と『共同体感覚』」
☆ 心理学者のアドラー博士(オーストリア生まれで、生誕の時期は、日 本で言えば明治の始め頃)、最初は精神分析で有名なフロイト博士の元 におられましたが、見解等に異なることが明らかになり離れてゆかれま した。
そのアドラーさんのこの国でのベストセラーに「嫌われる勇気」があ ります。ややもすれば同調圧力に屈してしまいやすい面があるこの国の 国民性を考えると大事なテーマではないかと思っています。
☆ さてこのアドラーさんのいくつもの著書の中で人が生きてゆく上でと ても大切なものとして「共同体感覚」が説かれています。
この感覚は人が生きてゆくうえでベースになる感覚で。その内容は自 分は他の人とつながっている、そして共同体の一員として居るんだとい う感覚。そしてそれは人を超えて、動植物等の自然とも繋がっていると いう感覚。
それは自分自身が他の人等から支えられたり、他の人等を支えたりと いう相互性、つながりの中で生きる存在だということに気づくことにつ ながってゆきます。
中身は「社会的感情」「共同体的関心」「社会的関心」「共同体的意図」 として表されます。他者への心配りと関心、そして社会全体への関心。
☆ 今は自己責任とか、自己利益、自己能力の開発等とかが優先され「共 同体感覚」がややもすればないがしろにされやすい社会になっているの ではないかと危惧しています。
最近は認知能力という言葉がよく使われるようになりました。この能 力に疾患があると「認知症」というように。
片や非認知能力は、数値化が難しい能力で、協調性、コミュニケーシ ョン力、意欲、共感性などを表します。共同体感覚を支える能力とも言 えます。これからはますます認知能力と非認知能力のバランスが大切に なってくるように思います。
ポコ・ア・ポコでは作業やお茶・お花・チェアビクス、音楽療法など を通してお互い共同体感覚を感じ育てようと活動しています。。
☆ 「生きづらさ」、「暮らしづらさ」を「障害」と呼ぶなら誰しも程度内 容は別として「障害」を抱えています。
高齢化社会を迎え、障害をお互いに抱えていることを理解しお互いが 支え合う社会、共同体社会はこれからとても大切なように思います。
(禿)