帯鋸加工の実際
始めに加工料金の考察
腰入れ |
職人によって質も量も(頻度)変わります 高い技能が必要な部分ですが、低レベルの作業の場合、作業した本人以外には腰入れを行ったかどうか判りません |
歪取り | これも同様です 必要に応じて作業しますが 低レベルの作業の場合、作業した本人以外には歪取りを行ったかどうか 判りません |
亀裂修理 | 何が原因か、誰に責任があるのか判断しにくい |
ステライト加工 | 付け替えのタイミングは誰が決めているのか |
上記のこれらの作業は誰が判断し作業命令を出しているのか、また料金は 誰が負担しなければならいのか 難しい所です 場合によっては 賠償責任や作業工賃の支払い拒否が起きる可能性を含んでいます この4つ作業は金銭的なトラブルの多いのも事実です お互いに信頼がなけれれば、日常の作業は出来ません。
弊社の場合ですが金銭面では「ステライト加工」に全てセットしてあります 「腰入れ」「歪取り」「亀裂修理」が実質無料となりました。 例外として 明らかに弊社の責任ではない場合や他社でメンテナンスした鋸は別に作業工賃を請求しています。 |
帯鋸加工所の変更に伴うリスク
平成13年11月20日 同業のA氏が 諸般の事情で廃業を表明し そのお得意様である
@社様を弊社にとA氏より 推薦して頂いた
業務引継ぎの日は、11月30日と準備時間が無い中のスタートでした
@社様との打ち合わせの為 訪問と工場見学
パレット製作を主とした 会社で 製材機は 6インチ 台車、オートテーブル。 5インチ ローラーテーブルの 計3台
木種は各種、南洋材とニュージーランド松 と 軟硬ミックスと難しい帯鋸加工 に成りそうです
A氏が加工した帯鋸はストレート歯型で 大変 良く切れている様子が音を聞いても 判ります。
帯鋸加工研磨 開始
29日より 実際の業務に入りました
まず 帯鋸のチェック A氏の加工方法を読み取ります
A氏と弊社帯鋸加工方法の比較 6インチ19ゲージ ピッチ35ミリ 鋸は共通
アサリ幅 | バック量 | 歯型 | ステライト溶着 | その他 | |
A氏 | 1.7ミリ +-0.2 (但し数回の研磨後) |
1.5厘 | ストレート | アセチレンガス溶着 | ガス溶接 腰入れ ヒート1本 緊張帯 極めて狭い テンション量 計測出来ず (ほとんど無い) |
益田技研 | 2.35ミリ +-.003 (ステライト加工後) |
1.5厘 | MG(高速) | 抵抗溶着 | tig溶接 腰入れ ハイパーヒート 緊張帯 15ミリ テンション量 24度以上 |
上記の状態でバック量以外まったく合わない 状態でのスタートになりました
腰入れは とても真似が出来ません 又A氏研磨のアサリが小さい為 全てステライト加工をする必要がありました弊社が加工した鋸は
ニュージランド松では 問題無く 使用できましたが
しかし南洋材では 「鋸がまったく使用できない」状態になりました (木質 硬い)
腰が無いような 強い挽曲がりが発生し 何本使用しても 使えない鋸ばかり、ところが A氏の加工した鋸は問題無い、技術者にとっては屈辱的な 状態になりました
対策
まず 腰が足りないと 判断して 腰入れを行なうのですが これ以上は入れられませんので 緊張帯を狭くして さらに腰入れを行ないました、結果としては 使えない状態で 変わり有りません
次に アサリの過大と判断し アサリ幅を2.1ミリ 2ミリと小さくして 何とか 実用に耐えられる状態になりました、さらに小さくして1.8ミリで使える鋸になりました
普通に加工、研磨している お得意様の◆社様と比較してみると
(@社と同型の製材機械、同様の南洋材を製材している)
回転数の比較
台車 | オートテーブル | |
@社 | 750回転 | 650回転 |
◆社 | 400回転 | 550回転 |
鋸車外径 1100ミリ
但し ◆社様 台車インバーター仕様 通常の使用回転数
といった結果が出ました
上記の各種 数値に付いては コメントはいたしません
又 技術の優劣、機械の設定状態についても 善悪を評価するものでも有りません
この間約10日 胃が痛む思いで加工し 善い勉強になりました
イヤー 久しぶりに 難しい加工になりました
このケースは切削熱の対応に ポイントが有った様です
A氏の腰の無い鋸がどうして なぜ 鋸があれほど良く切れたのか アサリだけの問題なのか
それとも 私共の知らない 加工ノウハウが有ったのか
私は未だに?????の連続です
4月15日下記、記事 追加
@社、専務様に要望していた プーリー交換による製材機の回転数の低下が1月末に決まり
製材機械のメンテナンスをしている 商社の技術者に、変更後の回転数を確認した所650回転に決定し 部品の発注もしていましたが、
私の無理を聞いてくれて、更に50回転低下して、 600回転に落としてもらいました (感謝)
これにより 切削熱の大幅な低下が期待できます
回転数変更後は 帯鋸の切れ味も向上し 硬い木質でも アサリ2.2ミリで使用できるようになりました
750回転の時は2ミリで辛うじてって、感じでしたが0.2ミリの差が出ました
目立てをしている人なら 判ると思いますが この0.2ミリは大きな差です。
結果としてプーリーの変更により トルクの向上、 製材能率の向上と 帯鋸加工、研磨工賃の低下ができました。
今回は台車 のみでしたが、これで 一息つけました
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