船通山と猿政山
藤原薫代(島根県森林インストラクター)

 4月の下旬から今まで4回ほど船通山に登りました。カタクリが咲いている頃に2回と、種になった頃と、ブナ林観察会です。
 前回の会報で、石川さんが、登山道の崩壊の件を書いておられましたが、船通山の登山道も日毎に横幅が広がり、頂上付近の登り坂で、去年カタクリが咲いていたあたりが、黒土が出て道になっていましたし、頂上の咲いている面積も、去年に比べ確実に減っています。
 船通山の鳥上滝コースは、ご存知の通り、岩の板を重ねた石段がつづき、頂上付近の登り坂では、疲れてしまって足を上げるのも大変です。特に、カタクリのシーズンは、小さな子供連れの家族が多く、どうしても、登山道の両脇の斜面を歩いてしまいます。わかっちゃいるけど…どうしてもというところでしょうか。
「カタクリは弱く、人の足で踏み固められたところでは、来年芽を出すことができない」と、説明を受けても、せっかく花を見たくて2時間近く登ってきた人なら、花の根元でしゃがんで眺めたいでしょう。それが花が減る直接の原因とはいい難いですし…。
 話は変わりますが、山荷容(サンカヨウ)の咲く季節に、猿政山に登りました。船通山が一番きつい山登りだと思っていた私にとって、島根側から登るルートは、まるでロッククライミング。横田さんが、「うちの子供でも登りましたよ」なんて言うものだから、ナメてかかっていた私が馬鹿でした。下刈りがしてあって、去年に比べると、とっても歩き易かったそうですが…。
 それはともかく、山に登る楽しさとはこういうことだろうか。道は人ひとり通れるぐらいで、すぐ足元でイワカガミやササユリが揺れています。アカショウビンやツツドリが近くで鳴いています。まるで、植物や鳥の聖域にお邪魔している気分になり、手付かずの山の姿を垣間見せてもらっているようです。人の手(力)より、山の力が勝っている清々しさといいましょうか、何とも言えないほどの気持ち良さでした。
(1998年6月発行の会報より転載)

関連稿:山歩きの好きな方へ〜仁多からのご案内〜 鯛の巣山研修登山の報告

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