『眠れない夜・・・・・・・』
う〜ん、眠れないよ〜。
僕は今日、何度目かの寝返りをうった。
寝なきゃいけないと思うほど、頭の中はパッチリとさえてくる。
眠らなきゃ、眠らなきゃ・・・・。
そうして僕はもう一度、寝返りをうつ。
「んっ・・・・どうしたのですか、悠季?」
隣にいた圭を、起こしたみたいだ。
「あっごめん、起こしちゃった?」
声と一緒に、圭に背中を向けてた身体を元に戻した。
「どうしました?眠れないのですか?」
「うん、ちょっとね。寝なきゃいけないと思うほど眠れなくなるんだよね。」
「深く考えない方が良いですよ。」
「うん・・・・、わかってるけどね・・・・・。」
すると圭は何を思い立ったのか、ベットから抜け出した。
「ブランデー入りのホットミルクを作ってきてあげましょう。」
「えっいいよ、わざわざそんなことしなくても・・・・。」
「良いですよ、作ってきます。そのかわり褒美を下さい。」
圭は僕の唇からキス一つを盗んでいった。
数分後、カップとともに白い湯気をたてたミルクをそろり、そろりと、圭は運んできた。
「はい、どうぞ悠季。」
圭からカップを受け取ると、ホットミルクの暖かい香がした。
「ありがとう。」
僕はそうお礼を言い、カップの中のミルクを喉へ流し込んでいく。
「うん、美味しい。」
飲み干したカップを下に置き、暖かくなった身体を
ベットの中へと押し込んだ。
なんか、眠れそうだぞ・・・・。
僕はそう思い、目を閉じた。
・・・・・・・が、眠れない・・・・・・・・。
あれから30分も経っているというのに。
一体僕の神経はどうなっているんだ・・・。
すると、
「やはり眠れませんか?」
と、圭が声をかけてきた。
「あっ、ごめん。また起こしちゃった?」
「いえ、それは良いのですが・・・。」
圭は少しの間をとり、言った。
「・・・・そうですね、そんなに眠れないのであれば、僕が寝かせてあげましょう。」
「君が?」
「ええ、僕がです。」
「どうやって・・・?」
僕としては素朴な疑問だった。
「それはですね・・・。」
圭はおもむろにそう言うと、いきなり僕の肩を抑え、組み敷いた。
「えっ・・・・?」
「ですから、こういうことです。」
こういうことって・・・・っ!
「ちょっと、ダメだよ。」
僕は首を横に振る。
「『ダメだよ』と言われましても、君は眠りたいのでしょう?」
圭は、僕を見つめて言う。
「うっ・・・、そうだけど・・・。こういうやり方って・・・・ないぞ・・・。」
「そうですか?
では、君が『イヤ』というならやりません。」
そう言う圭は、僕が『イヤ』って言えないこと知ってるんだ、きっと。
「イヤじゃないけど・・・・。」
僕の消え入りそうな声を、圭はきちんと聞き取ってて・・・。
「では、眠らせてあげます。」
と圭は、僕の耳元で言った。
「うん・・・・・・・。」
―――僕らの夜はますます深けていった―――
ますます甘くなっていくふたりでした・・・。
私も寝つきが悪いので、いつも苦労しています。