■■■■■Merry Christmas 第1話■■■■■

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  スウェーデンの森の奥深くに小さな小屋があります。
そこには代々『サンタクロース』が住んでいました。
今ここに住んでいる”サンタ”は13代目の悠季です。
彼は今年”サンタ”を受け継いだのでした。
そして今日が”サンタ”としての初仕事。
悠季は世界中のこども達から届いた手紙を念入りに
確認します。
 「頑張って働かないと今日中には終われないぞ!」
悠季はそう言って自分に喝を入れます。
気を引き締めたところで出発の準備です。
シャワーをして、身支度を整え、
クローゼットの中から赤い服を取り出します。
この赤い服は古くから”サンタ”に受け継がれてきたものでした。
 「やっぱりブカブカだ・・・。ベルトをいっぱいに締めなきゃ
  ずり落ちちゃうよ。」
代々の”サンタ”は太った人が多かったので、細身の悠季に
とってはとてもこの赤い服は大き過ぎました。
 「僕もいずれは太っちゃうのかな・・・?やだなぁ〜。」
呟きながら悠季はベルトを締めました。
さて、準備は完璧です。
しっかり家に鍵をかけて、荷物をトナカイの後ろに乗せてさぁ出発です。
 「今日1日ヨロシク頼むよ、トナカイさん」
悠季はそう言いながらトナカイの頭を撫でました。
するとトナカイはそれに答えるかのように、悠季の手のひらに
顔をすり寄せます。
 「よし、忘れ物もないし出発しようか。」
悠季はトナカイの後ろに乗り込み、綱をパシッと叩きました。
するとトナカイがゆっくりと走り出し、だんだんと加速していきます。
そしてもう一度悠季が綱を叩くと、トナカイは空に駆け上がって
いきました。
悠季の仕事の始まりです。

 

 

 「ふぅ・・・、だいぶ配り終えたね。あと一つだけだ。
  頑張っていこうねトナカイさん。あとひと息だから。」
ソリに乗りながらトナカイに話し掛けます。

 

 最後の家に到着したのは夜中の11時近くでした。
早くしなければクリスマスになってしまいます。
 「わぁ〜大きなお屋敷だなぁ。」
悠季はそう言いながらソリを屋敷の屋根に止め、最後のプレゼントを持って
ソリを降りました。
 「さて、どこから入ろうかな。」
最近は煙突がある家は少なく”サンタ”としては侵入する個所がなく困ります。
しかし、運が良かったのかこの屋敷にはりっぱな煙突がありました。
悠季はそこからゆっくりと下に下りていきます。
たどり着いたそこは暖炉の中でした。
悠季は暖炉から抜け出すと部屋を見回します。
 「大きな部屋だなぁ〜。こんなところにこどもがいるのかな。」
悠季はそう思いながら人の気配をうかがいます。
部屋は真っ暗なので人を見つけるのは一苦労です。
 「んっ・・・。」
かすかにこどもの声がしました。
悠季はとっさに身を丸めてしゃがみこみましたが、起きるような気配は
ありませんでした。
悠季は声がした方向へと進んでいきます。
するとそこには大きなベットで小さな男の子が身体を丸めて
眠っていました。
 「わぁ〜、かわいい子だな。」
悠季はそう心の中で呟きながら白色の袋のなかから
プレゼントを取り出しました。
 「メリークリスマス・・・。」
小さな声でそう言ってプレゼントを枕の横にそっと
置いた時でした。
 「誰ですか。」
突然悠季の下から声がしたのです。
その方向を向くと、今まで寝ていたはずの男の子と目が合って
しまったのでした・・・・・。

 

・・・・・・・・・To be continued・・・・・・・・

 


 

サンタクロースな悠季です。第2話は25日にUPする予定です。

 

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