***************ケイ、追いかける!編**************

〔お話へ戻る〕  〔TOP〕


  ユウキは、全力疾走で森の中を走ります。
しかし、ユウキはもとから体力があるほうではないので、途中で
立ち止まってしまいました。
ゼエゼエと荒い息をはきながら、ユウキは恐る恐る後ろを振り返って
見ます。けれども、振り返ったそこにはいつもと同じ穏やかな
森の景色が広がっているだけでした。
  「あれ?あのクマ、追いかけて来なかったのかな?」
そう考えていると、ある重大なことを思い出しました。
  「あっ!僕のバイオリン!どうしよう、置いて来ちゃった!」
あのバイオリンは、ユウキにとってとても大切なものでした。
亡くなったお父さんから譲り受けた大切なバイオリンです。
バイオリンを置いてきたことに、ショックを受け、ユウキはその場に
しゃがみ込んでしまいました。
  「とうさんから貰ったバイオリン・・・・。」
涙が溢れてくるのを必死に堪えます。
その時、ユウキのひざに擦り寄ってくる者がいました。
あの時のウサギです。
ウサギはキョトンとした瞳でユウキを見上げてきます。
その瞳を見たユウキは、
  「そうだよね、泣いても何も始まらないよね。取りに行かなくちゃ!
僕の大事なバイオリン。もう、クマもいないよね・・・・・?」
そう決心したユウキは、もと来た道を引き返そうとしました。

   ところが、ユウキが走ってきた道から誰かが来るではありませんか。
目があまり良くないユウキは、それが誰なのかを知るために
近付いてくるものをじっと見つめます。

―――数秒後、それが何なのかをイヤでも知ってしまいました。
あのクマです。
クマがユウキを追ってきたのです。

   それを見たユウキは、怖くて逃げ出してしまいました。

・・・・・・・・・To be continued・・・・・・・・

 


              〔前のお話〕