Part24
「渾然」〜1月14日(日)
 午前中は部外者扱いのBさんは、12時過ぎに大ホールへやって来た。練習もしてないうちからロビーで昼飯。最近は子どもたちからも名前で呼びかけられるようになってきちゃったりなんかして、オレも有名になったもんだぜ。こっちもたぶん、キャストほぼ全員の顔と名前が一致するところまできている。石の上にも3年だが、鬼門は瀧本&山口の双子ちゃんカルテットだ。去年はそれぞれ、妹の方しか出演していなかったので苦労はなかったのだが‥‥ごんどう先生もよく、いちかばちかで呼んでたりする。そういうときはたいていハズレる。
 ホールに入ると、本格的にオケピが組まれている。例の客席からオケピを越えてステージに上がる「キャットウォーク」も本年初登場。その下手側、パーカッショニスト・ゾーンがいま熱いぜ、手元の時計でだいたい12時50分頃。山上さんを中心に、広兼先生いうところの「サンバボーイズ」がどういう曲だかわからないがギンギンに熱奏中。いつの間にやら子どもたちもステージから客席から取り巻いて、熱心に聞き入っている。多田先生も間近でリズムを取っている。さながらミニライブのような、高揚した心地よい空間が突然そこに出現した。決めとともにヤンヤの喝采、まるでエネルギーを満タンチャージされたような、ハイな気分で午後の練習は幕を開けた。ストレッチのBGMもいつものスティービー・ワンダーではなく、サンバボーイズが担当。
 きょうはいわゆるブラス合わせだが、もうタイミング取りだけでなく、いわば本番想定の合同練習だ。全力で歌う、全力で踊る。伴奏がボリュームアップしてる分だけ、歌もそれに負けないだけのものが要求される。きびしいのはキャストだけではない。ブラスや音響セッティングについても、シビアな要求が広兼先生のマイクから飛び出してくる。でも‥‥こうでなきゃね。目標が高ければ高いほどそれを越えたときに得られるカタルシスも大きいのだ。言ってるわりにはBさん、レベルの低いことをくり返してるが‥‥とにかくいま欲しいのはでかい声だ。張り上げても裏返らない声。
 客席で意気消沈してると、まるでその意気消沈をパイルドライバーで白いマットに叩きつけるがごとく出現したのは、お受験間近のサワエちゃんだった。その刺激は天才の頭脳にインスパイアを与え、山田はまるでそれが運命であるかのように「サワエの歌」を奏上した。そのサワエちゃんは大達っちゃんのかわいい「後輩」なんですって?‥‥まるで四次元空間に迷い込んだように混乱する男一匹。しかしシビアな稽古は四次元空間にも浸食してくる。「あしたの空へ」で松島先生やピアノの沖田さん、師井さんたちの影コーラスに合流したのだが、「飛び出しすぎ」って注意された。おれ、ここが一番声が出るのにな〜‥‥低音も欲しいです。さっきのに追加しといてください。
 この辺で各ナンバーの印象をつれづれに記しておきたい。ツカミの教師Aのソロ。美佐さんが嬉々として歌い踊っていると、伝説のミドリ先生を彷彿とさせる。何、ミドリ先生を知らない?そんなあなたは芝居屋「劇団子」の第7回公演を、首を長くしてお待ち下さい。ラストの上川くんにも要注目。今回は(も?)こういう小ネタが随所にちりばめられている。「そんなもんさ」去年一つだったものが二つになります‥‥まるちゃんがこれで「どっこいしょ」と言ったとか言わなかったとか。「ラブリーME」‥‥青木ちゃん、アゴ外れない?三枚目路線もなかなかいけるね、キミ。「KAGURA-A」大庭くんの役回りをなんて表記したらいいんでしょう?「KAGURA-B」わたしのお気に入りのリサ・スキッピングは今回はなし。ほんとにブラスバンド部でフルートを吹いているという、言ってみればリサになるために生まれてきたような半場オリジナルでごらんいただきます。‥‥あんまり「ナンバーの」印象論になってないなあ。
 練習終了とともにオケピの撤収が始まる。キャストも総出でお手伝い、はじめて奈落の底に足を踏み入れた。フロアの降下にあわせてついつい芝居をくり出してしまう新垣演助は芝居欠乏症だと思うのだが‥‥いまならまだ間に合う、ステージがきみを待っているぞ!(この呼びかけにはどういう芝居で応えてくれるのか?)
 それと、この場をお借りして真月さんのご主人〜、「とびら」で〜す。「とびらのむこうに」で〜す。「壁に向かって」じゃありませんよ〜!東西ドイツ統一の話じゃないんですよ〜!わかりましたか〜?

[前へ] [次へ] [舞台雑記homeへ]