Part21
「寒暖」〜1月7日(日)
 大人は予定を30分繰り上げて9時半に集合。大ホールに行くとオケピットがセッティングされ、楽器が搬入されている。午前中はブラス合わせの予定だ。キャストはまずリハーサル室に集合して発声練習である。
 終わって大ホールへ移動。山本さんが来るまではじ先生自らがタクトを振ることになった。年末にもブラス合わせはあったが、本番どおりのポジションでやるのは初めて、ブラスの人もほとんど揃っている。ただ、ゲラン・バロン関係の曲はまだほとんど練習時間がとれてないらしい。合わせの最中にも楽譜の配布がされてたりする。
 ミュージカルではブラスもキャストの一種かも知れない。少なくとも指揮者は振りはじめるタイミングを、「誰のどのセリフのどのあたりか」などとおぼえておく必要があるし、次の曲の準備に集中するためには、結局どの奏者もセリフを聞きながらストーリーを追っていく必要があると思う。たぶん感情移入してるはずだ。昨年クラリネットを担当していた大達っちゃんが今回キャストに加わってきているが、キャスト志望で有名なのはパーカッションの山上さんだ。一昨年、「あい地球」の打ち上げの壇上で死神願望をぶちあげた山上さんだが、即座に(壇上から降りもしないうちに)陶山先生から「ダメ!おまえはドラム!」と一蹴されていた。そう、今や石西音楽祭に山上さんのドラムはなくてはならない存在となっている。年末の稽古納めの時に聞いたら「番人がやりたいんじゃ〜、早よう後継者を育てて‥‥」とのことだった。ドラムといったら大庭くんが思い浮かぶが、それだとキャストとブラスのトレードになっちゃうしねえ‥‥痛し痒しである。
 大人だけの曲から順次練習をしていくうち子どもたちも集まってきた。キャストはいちおうステージで芝居&ダンスをするのだが、メインの課題はブラスとのタイミングやテンポのアジャスト、きっかけになる音の確認等々である。ララや管理官など、何人かはマイクをつけている。音場作りが始まった感じである。番人関係の合わせの頃、客席であーだこーだ話してると「外人のような仕草が多い」アカギ・ヤマダ・テツが管ちゃん帽を持ってうろうろしている。「この帽子がぴったり合う人を捜してま〜す。大嶋さん、かぶって。ぼくのお母さんでしょ?お願い聞いてよ〜」‥‥例の管デレラ伝説を振りかざしている。しかしわたしは知っている。モトくんにその帽子がぴったりフィットすることを‥‥。なのでアカギ親子の格闘を無視して話をすすめると(しかし、ちょっとかぶって見せりゃいいのにね、大嶋さんも。みんな拒否するのを知ってて面白がってくるんだから)、いま気になってるのは影コーラスの段取りがどうなるかということ。できれば「しあわせ?しあわせ!」からガンガンやりたいところだが、経験がないのでどんな感じなのかイメージできない。前例でいくと影用マイクはピアノ庫の中に設置されるはずである。
 午後からは中央公民館に移動する。たぶん大ホールは翌日の成人式の準備があるんだろう。新成人の大達っちゃんは式の運営係の一人でもあるらしい。今年からそういう、新成人自身もプロデュースに加わるシステムになったとか。それはともかく、暖かく音が反響しない大ホールから、寒く反響しまくりの軽運動場で3幕の立ち稽古である。ここで思い出したようにあいさつしたのは舞台監督の上代さん。年明けから何かとマイクを持って仕切っておられたのだが、知ってる人はともかく知らない人間(多数派)から見たら「あの人誰?」という状態がかれこれ4日間続いていたのであった。ちなみに舞台監督というと渡辺さんの後継ということになる。
 ところで軽運動場。スタッフの人がバミッてくれたおかげで、ある程度位置確認をしながら稽古ができる形になった。ただやっぱり奥行きが足りないみたいで「法王さまは外です。」史香さんショック!おあつらえむきに出入口があるけど、その向こうはベランダで、さらに向こうは山だ。出るわけにはいかない(当たり前)。一番えらいはずの人が一番小さくなって稽古していた。さらに軽運動場、あいかわらず曲がガンガン響くところの芝居なんかセリフが全然聞こえない。指示を聞くのも大変なのだが、こういうときでも広兼先生の声はよく通る。さすがである。
 途中から2幕の稽古になり、関係者以外は解散してもいいことになったが、見たところかえったのはほんの一握り。これはいいことだなと。小川さんたちは4階で歌の練習をしていたようだ。でも子どもたちは軽運動場の隅にかたまってて、そうなるといかに静かにしてるかが問題だが、あるグループはモトくんの回りに集まって、何をしてるのかと思ったらモトくんの髪をレゲエ風に編んだりして遊んでいる。その間、モトくんのおとなしいこと‥‥ライオンはいま満腹のようだ。見ていてなんか微笑ましいものを感じてしまったのはわたしだけだろうか。また、あるグループはミヤコさんの娘のユミちゃんを追いかけ回して遊んでいた。ダイチがユミちゃんのご機嫌をとってるところなんか見ると「下には下がいるもんだ(幼いという意味で)」などと感嘆の息をもらしてしまうBさんであった。

[前へ] [次へ] [舞台雑記homeへ]