目次  研究概要  研究の実際(技術分野家庭分野 特別支援教育  まとめと今後の課題  学習指導案(技術分野家庭分野) H17年度研修会

 

3.まとめと今後の課題

 

(1)指導方法や指導体制の工夫改善(仮説@に関連して)

 

 

 少人数やティームティーチングでの授業では、より多くの生徒に声をかけ、一人一人の学習状況をチェックできるようになったため、個に応じたきめ細かな指導・支援が可能になった。その結果、生徒の学ぶ意欲が高まり、質問や意見が以前と比べるとよく出るようになった。学習に関するアンケート結果からも「授業が分かりやすくなった。」、「集中して授業が受けられるようになった。」など、大半の生徒がこの指導を効果的であると受けとめていることが分かった。しかし、少人数やティームティーチングでの授業は、指導方法の一つであり、さらに有効なものにしていくには、学校組織として教師全体の指導力の向上を図っていくことが必要である。

 また、地域講師を活用した授業では、より専門的な指導を受けることができたり、質問・疑問にも迅速に対応してもらえたりするなど利点が大きいため、今後さらに地域との連携を深め、ふるさとの教育力や人材を十分に生かすためのネットワークづくりを進めていかなければならないと考える。

 

2)互いの学びのよさを交流し高め合うための場の設定仮説Aに関連して

 

 

 多人数の中では自分の考えを表現しにくいと感じている生徒がいるため、まず、少人数の中で意見交換をし互いに学び合う場を設定することにした。特に音楽、美術、保健体育、技術・家庭の四教科では、グループ学習の機会を増やし、互いの作品についてアドバイスし合ったり、協力して一つの課題に取り組んだりする場を積極的に取り入れるようにした。その結果、異なった視点からの多様な見方・考え方にふれ、よりよい作品を作り上げることができたり、協力して課題を解決する中で、互いのよさを認識できるよう成長した生徒もいた。しかし、中には他と協力せず一人で課題に取り組んだり、私語が増えてしまったりする生徒もおり、何のためにグループ学習を取り入れるのかをはっきりとさせ、目的意識をもって学習に取り組めるよう工夫していく必要があると感じた。

  

(3)指導内容の工夫改善仮説Bに関連して

   

 生徒の興味・関心を生かした課題を与えたり体験活動を授業に取り入れたりするなど、指導内容を工夫改善したことは、主体的な学習を促すのに大変有効であった。特に総合的な学習の時間では、地域の方々の協力のもと保育園や福祉施設を訪問する機会を得たが、生徒は進んで施設で働いている方へ質問したり、利用者と積極的に交流を図ろうとしたりするなど、教員が指示を与えなくても主体的に体験学習に取り組むことができた。そこで学んだことを実生活に生かすことはもちろん、将来の適切な進路選択やよりよい地域づくりに向けての提案につなげていくことが今後の課題である。また、少人数授業や選択授業では、生徒の理解に応じて「補充的な学習」や「発展的な学習」を取り入れるようにしたが、その結果、分からなかったことや誤って理解されていたことが補え、生徒が学ぶ楽しさを味わうきっかけとなったばかりでなく、次の学習への意欲づけとなった。  

 主題に迫る生徒を育成するために、各教科等で研究実践を進めてきたが、まだ生徒の実態は、大きく変わったとは言えない段階である。残された課題も多いが、一人でも多くの生徒が意欲をもって学習できるよう、今後も校内研究を進めていきたい。